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Spooky House スプーキー・ハウス

アメリカ映画 (2002)

子供時代をずっと孤児院で送り、虐めに遭って辛い思いをしたため、自分は子供を作らないと決心したマジシャン、ザンボーニの物語。その頑なな態度は、TV放映されているマジック・ショーの最中に、アシスタントの妻が姿を消すという不祥事につながる。ショックを受けたザンボーニは、マジシャンを廃業し、墓地の横に立つ不気味な館を買い取り、世間との交渉を絶った孤独な生活を送り始める。そして11年半後、マックスという8歳の少年と出会う。最初は、マックスにすげなかったザンボーニだが、人懐っこいマックスと出会う度に、次第に心がほぐれ、マックスと その友達の4人組と力を合わせ 窃盗団をやっつけたことで、マジックの楽しさを再認識する。完全に子供向きの映画だが、多くのマジックのトリックの紹介は、1997~2002年にかけてFOXチャンネルで放映された『破られたマジシャンの掟』を何となく思い出させる。

マックスは、母親がカフェテラスで働いている黒人のビーンズとゾーイの兄妹、ロシア系のユーリ、カナダの先住民族のプレスコットの4人といつも一緒の仲良し。カフェテラスのあるウッドデッキの遊歩道や、漁船の桟橋の中にある自分達専用のクラブハウスで遊んでいる。そして、時折見掛けるザンボーニを、スプーキーな(薄気味悪い)人間と思っていて、彼が住んでいるスプーキー・ハウスは、近寄っちゃいけない場所になっている。しかし、ゾーイが飼っている山羊が高校生の不良3人組に奪われたため、取り返そうと探すうち、山羊が、つながれていた墓地の木から逃れてスプーキー・ハウスに入って行くのを見てしまう。仕方なく5人はスプーキー・ハウスに侵入するが、それに気付いたザンボーニにマジックで脅され、早々に退散する。マックスだけは、逃げずに、人懐っこさを見せるが、不法侵入者扱いされ、追い出される。翌日、パソコンオタクのプレスコットは、カフェテラスに戻るとザンボーニの過去を調べ、マジック・ショーの最中に、アシスタントの妻が行方不明になり、警察沙汰になったという記事を発見する。それに興味を持ったマックスは、すぐにスプーキー・ハウスの前まで行き、ザンボーニに “奥さんが逃げた理由” を訊くが、完全に無視される。3度目の接触はウッドデッキで。マックスは、買い物に来たザンボーニにまとわりつき、ユーリにもらった “ボールがワープする” マジックのやり方をしつこく訊き、業を煮やしたザンボーニに教えてもらう。その後、ゾーイの山羊が再び盗まれ、マックスはザンボーニに助けてもらおうと、渋る4人を連れてスプーキー・ハウスに行く。しかし、ドアベル代わりのドラが鳴っても誰も出てこないので、マックスは窓を覗き、ザンボーニが飼っている黒ジャガーのシッポがカウチに挟まっているのを発見。窓から侵入して、マジック道具のマウチに飛び込みシッポを解放するが、自らはカウチの中に閉じ込められてしまう。そこにやってきたザンボーニ、マックスをカウチから出してやるが、2度目の不法侵入者とみなされ、理由など聴いてもらえない。プレスコットは、例のマジック・ショーで、ザンボーニが最後に奥さんに言った言葉を、YouTube画像の音声分析から解明し、「子供は嫌いだ」だったと知る。そこに、マックスが本当に黒ジャガーを救ったことに気付いたザンボーニからのプレゼントが届く。しかし、そのプレゼントは、すぐに不良3人組に奪われ、ケガをさせられ、自転車も壊される。その哀れな姿でスプーキー・ハウスを訪れたマックスを見て、ザンボーニはケガを手当てし、自転車を修理し、自分の子供時代のことを話し、奥さんが消えた理由も話す。そして、ハロウィーンの日。不良3人組がキャンディーを大量に盗んだのを見つけた5人組は、跡を付けて行き、3人が女ボスに叱られているのを見てしまう。そこに、ザンボーニからのプレゼントも置いてあったので、マックスは取り戻すが、同時に5人の存在がバレ、不良3人組に追われることに。5人は、スプーキー・ハウスに逃げ込む。ザンボーニは5人に協力し、不良3人組をマジックで恐怖に陥れることに成功。ザンボーニはマジックの楽しさを思い出す。ハロウィーンの翌日、マックスは孤児院に引き取られていったが、ザンボーニは現役復帰最初のマジック・ショーに孤児院の子供達も招き、そこでマックスを養子にしたことを発表する。出奔していた奥さんも戻って来る。

マックス役のマット・ウェインバーグ(Matt Weinberg)は、1990年7月13日生まれ。映画の撮影は1998年の9-10月に行われたので、撮影当時8歳。TVを中心に活躍した子役だが、配信されている写真を見ても、この映画でのマットが群を抜いて可愛い。それは、顔立ちもさることながら、ザンボーニにすがろうとする必死感の結果であろう。

あらすじ

グレート・ザンボーニと名乗るマジシャンが舞台に現れ、両腕を拡げて「それでは、イリュージョンをお楽しみ下さい」と言うと、体が崩れて粉々のガラス片になり、タイトルが表示される。そして、助手がガラス片を箒で集めてガラス容器に入れると、白煙を伴う爆発があり、その中からザンボーニが現われる。そして、メインのマジックでは、舞台に、ティピ〔アメリカインディアンのテント〕、星型の枠、地球儀の3つが置いてある。空っぽのティピから現れたのは、ザンボーニの奥さんでもあるドーン・スター〔夜明けの星〕という素敵な名前のインディアンの女性〔その後の前口上のシーンで、このバラエティ番組が、無観客で「録音笑い/ラフトラック」が使用されていることが分かる〕。ザンボーニは、奥さんを星型の枠の中に立たせ(1枚目の写真)、前面に透かしの紙を付け、後ろから当てたライトで、影絵のように奥さんのシルエットが映る〔実際には、紙を付けた直後に奥さんは隠れ、シルエットは偽物〕。奥さんが入ったことになっている星型の枠と、大きな地球儀が並行して吊り上げられる。そして、ザンボーニの口上とともに、枠が派手に破裂する(2枚目の写真)。当然、奥さんはいない。奥さんは地球儀の中から現れることになっていて、その口上とともに地球儀を2つに割るのだが、中には誰も入っていない(3枚目の写真)。拍手の音を出していた係は、慌てて音を止める。これは、ザンボーニにとっても想定外の出来事で、ただただ茫然とするのみ。
  
  
  

11年と半年後と表示され、漁港の再開発で、埠頭を “流行(はや)りの空間” に変えたウッドデッキの上を、黒いジャガーを連れた黒衣のザンボーニが歩き、周囲の人々は 怖いのでジャガーを避けている(1枚目の写真、矢印)。そこにやってきた5人組の子供達。一番年下のマックスが真っ先に猛獣を見つけ、「見て!」と4人に呼び掛ける(2枚目の写真)。みんな猛獣が怖いので逃げ出す〔黒ジャガーではなく、黒豹だと思った?〕。背後に流れる軽快な歌では、「スプーキー」という言葉が何度も使われる。映画のタイトルに使われた形容詞だが、気味悪い、不気味な、恐いなどの意味がある。
  
  

子供達は、5人のうちの2人の母親がウェイトレスなので、自由に出入りできるカフェテリアに入ると、ウッドデッキに沿った窓に鼻をつけ、ザンボーニと猛獣を怖そうに見る。見られていることに気付いたザンボーニは、一番端にいるマックスに目を留め(1枚目の写真)、マックスも鼻ぺちゃにしてじっと見つめる(2枚目の写真)。そこに、ウェイトレスがピザを持ってやってくる〔母親なので、5人が来る時間を予め知っていたのだろうか?〕。ピザは、5分の1がチーズだけ、5分の1がアンチョビーとチーズ、5分の1がペパロニ〔サラミソーセージ〕とチーズ、5分の1がキャビア〔チョウザメの卵ではあるまい〕とチーズ、5分の1が全種類とチーズ〔だから、作るのに時間がかかったハズ〕。一番小さな女の子ゾーイ(ウェイトレスの娘)が、「世界中探したって あんなスプーキーな人いない」と言うと、マックスが、「全宇宙でもだよ」と強調する(3枚目の写真)。5人の中で一番大きな子ビーンズ(ウェイトレスの息子)は、「ねえ、ママ、プレスコット、ユーリと僕はクラブハウスに行くから、マックスとゾーイを見ててくれない?」と頼む。ゾーイは、「私もクラブハウス行きたい」と言い、マックスも、「僕もみんなと一緒に行きたい」と言う。ゾーイが行きたいのは、プリンセスという名前の山羊がそこにつないであるからで、マックスが行きたいのは、もうすぐ4人と別れなくてはならないから。ビーンズは、クラブハウスは大きな子のいる場所だと拒絶するが、マックスが、ハロウィーンでもらうキャンディーを半分あげると言うとOKする。
  
  
  

ザンボーニが住む館の近くに、3人の極ワル3人組が、自転車で来ている。デイヴ:「墓地の隣に住む奴の気が知れねぇな」(1枚目の写真)。モナ:「最高の隣人じゃないの。文句なんか言ってこないから」。3人の中ではボス格のモナが、停めてあった古いバンのバックドアをこじ開けると、中には新品の棺桶が1個置いてある。モナは、嫌がる2人をけしかけて蓋を開けさせる。棺の中は空だった。モナは、マッチを取り出すと(2枚目の写真、矢印)、2人に棺桶を車から出すように命じ、作業が済んだ後、マッチを擦る〔この段階では、マッチで何をしたのか分からない〕。その後、3人は、年代物の初代キャデラック・ドゥビル(1959年)が停めてある建物の1階でタイプを打っている中年女性の部屋に入って行く。デイヴが、「タバコなんて止めるべきですよ、ボス」と声をかけると、ボスと呼ばれた女性は、「私がタイプしてる時に、邪魔するんじゃないよ」と言い(3枚目の写真)、タイプを続ける。「それに、ボスと呼ぶんじゃない。マダム・ボスとお呼び」と付け加える。さらに、「覚えておおき。お前さんたちがここに来たワケは、その道のプロに、低レベルの盗みの腕を、芸術の高みにまで上げてもらうためなんだ。ことによると、後悔し始めているかもしれないが、後戻りはできないからね」と、3人の気を引き締める。黒ジャガーを連れたザンボーニが散歩から戻ってくると、停めておいたバンは黒焦げになっていた〔3人組は、それほどの極悪〕
  
  
  

場面は変わり、ヨット・ハーバーの一角に設けられた浮かぶ家が映る。これが子供達のクラブハウスだ(1枚目の写真)〔なぜか、クラブハウスのシーンでは、常に空が赤い〕。ビーンズがドアを開けて入って来ると、中には既に4人がいた(2枚目の写真、マックスは舵輪で遊んでいる)。ビーンズは、「これ、君に持ってきてやった」と言い、カエルをプレゼントするが、マックスは元気がない。ユーリに渡されたオモチャの歯を動かしながら、「フェアじゃないよ。どうして、ハロウィーンの翌日に孤児院に行かされるの?」と言う(3枚目の写真)。ビーンズは、マックスの肩に手を置いて、「このままずっと一緒にいたいよ」と言い、ゾーイも 「私も、このまま一緒に暮らしたいわ」と賛同する。ユーリは、「大きな家に住んでて お金持ちじゃないと 養子を取れないなんてバカげたルールだ」と、養子制度を批判する。マックスは、もらったカエルに、サー・ランスロット〔アーサー王の卓の騎士の一人〕という名前を付ける。
  
  
  

道路では、マダム・ボスが、3人に向かって、「スキルを覚え、スタイルを覚え、プロのカリスマを覚えるのよ」と言うと、キャデラックの運転席から道路に敷いたきれいな布の上に、気を失ったかのように倒れる(1枚目の写真)。そこに、標的にされたバンがやって来ると、運転手は、派手な格好の倒れた女性を見て、「奥さん、大丈夫かね?」と言い、口移しで息を吹き込もうとする。その間に、3人はバンのバックドアを開け、中に積んであったキングサイズのキューバ産の葉巻の箱を、次から次へと台車に乗せた棺桶の中に放り込む(2枚目の写真)。そして、台車ごと自転車で牽いて目立たぬように去って行く。
  
  

5人組が住宅街を歩いている。ゾーイが連れているのは ペットの山羊のプリンセス(1枚目の写真、矢印)。5人目のプレスコット〔カナダの先住民族/映画の撮影は カナダのブリティッシュ・コロンビア州〕が、「暗くなる前に家に着かないと」と言い出し、ユーリ〔ロシア系の名前〕も、「僕もだ。ママが心配する」と同意する。それを聞いたマックスは、「君らには、ママがいるから」と言い(2枚目の写真)、気まずい空気が流れるが、ビーンズは、「心配するな、マックス。君は、僕ら〔ゾーイ〕の母さんをいつでもシェアしていいんだ」と慰める。すぐに、プレスコットも 「僕んちもだ」と言い、ユーリも 「僕もだ」と、仲の良いところを見せる。
  
  

この楽しい雰囲気は、そこに自転車に乗ったワル3人組が現われたことで一変する。モナが、「おい、間抜け、その山羊どうしたんだ?」と訊く。子供たちが何も答えないのを見たマイク(もう1人のワル)が、「俺たち、嫌われてるぜ」と言い、それに対し、プレスコットが、「ソシオパスだからさ」と言う〔ソシオパス=反社会的な行動や気質を特徴とするパーソナリティ障害を抱えた人〕。デイヴ:「ありがとよ」。ビーンズ:「ソシオパスの意味、知らないくせに」。デイヴ:「その減らず口を腫れ上がらせてやるってことさ」。モナは、デイヴを押し留め、「放っておきな。もう腫れ上がってるじゃないか」と言う。マイク:「体中、ブクブクだもんな」。ビーンズ:「黙れ、豆粒の脳味噌」。モナは、デイヴを再度押し留め、「チビおたく向けの、いい物あるわよ」と、何かを売り込もうとする。それを聞いたマックスは、「あんたなんか嫌いだ!」と言うと、自転車の前輪を思い切り蹴る。「何すんのさ、このクソガキ!」。これで雰囲気が変わり、モナは、ゾーイに、「山羊はどこで手に入れたんだ?」と再度訊き、ちゃんとした返事が得られないと、いきなり山羊をつかんで奪い取る(1枚目の写真、矢印)。山羊を奪われた5人は、呼べば鳴くだろうと考え、「プリンセス!」と大声で呼びながら町じゅうを歩き回る。辺りも暗くなった頃、メー、メーという鳴き声が聞こえる。モナが墓地の木につないでおいたのだ。喜んだのも束の間、猫が鼠を獲ろうと飛びついたため、山羊を木に縛っていた紐が外れてしまい、山羊はザンボーニの館の中に入ってしまう。マックスは、後を追おうとするが、ビーンズは、「中に入るんじゃない。スプーキーな奴に捕まっちまうぞ」と止める。「構うもんか」。ユーリ:「ライオンの餌にするため、小さな子を飼ってるんだって」。ビーンズ:「この墓地は、その骨を埋めるためなんだ」。ゾーイ:「それに、眠らないのよ」。プレスコット:「本物の吸血鬼だぞ」。ユーリ:「2000年、生きてる」。ビーンズ:「家の中は、蛇だらけだ」。プレスコット:「毒蛇だぞ」。4人は、ありもしないことを言い立て、マックスを行かせないようにする(2枚目の写真、背景の屋敷は絵?)。しかし、孤児院行きを控えたマックスは、「生きてたって仕方ない」と言い、屋敷の玄関に向かう。マックスが好きな4人も、仕方なく後に続く。段々での さらなる反対意見を押し切り、マックスは玄関ドアの横にあるボタンを押す(3枚目の写真、矢印)。すると、大きなドラが鳴る音が響く。しかし、ドアは開かない。
  
  
  

プレスコット:「留守なんだ」。ユーリ:「家に帰れるな」。ゾーイ:「プリンセスを捉まえないと」。ユーリ:「見張りのライオンは?」。ビーンズ:「みんなで行って、プリンセスを捉まえたら素早く出る、ってのはどうかな?」。ザンボーニは、留守ではなく、上の階のベランダから その様子を見ている。5人は、庭にある穴の中に落ちる。中は真っ暗。プレスコットがラップトップのスイッチを入れ、モニターの光で周りの様子を見る。そこは、マネキンのようなものが多数廃棄された地下倉庫のような場所だった(1枚目の写真)。幸い、壁に付いた照明用のスイッチを発見し、暗闇の世界から解放される。5人は、その倉庫にあった唯一のドアを開ける〔映画にはないが、そのあと長い階段を上り、地上階に出る〕。すると、そこは館の一階、高い天井で、変わった時計もある〔30分ごとに、大きな木の鳥が飛び出してくる〕。その後、5人の “探検” の映像が流れる。一方、ザンボーニは壁と壁の間に設けられた隠し通路に設けられた覗き穴から、子供達の様子を窺う(2枚目の写真、手前は黒ジャガー)。そのうち、ゾーイは山羊を見つけることができたが(3枚目の写真)、落雷の音に驚いて転倒した際、お尻が大きな植木鉢にはまってしまい、山羊とはまた別れ別れに。
  
  
  

すると、突然、秘密の通路のドアが開く。子供達はロウソクの燭台を手にして ためらいがちに中に入って行く。しかし、マックスが、自分のカエルを追って どんどん先に行くので、4人は仕方なく後を追う。通路の先にあったものは、一種の石室。そして、その真ん中に石の棺が置かれている。カエルは、その端にちょこんと乗っていた(1枚目の写真、矢印)。マックスは、ビーンズにロンソクを持っていてもらい、石室に入ってカエルを捕まえる(2枚目の写真、矢印)。すると、それが引き金となって石の蓋が開き始め、煙の中から体がせり上がってくる(3枚目の写真)。
  
  
  

ザンボーニは上半身を起こすと、子供達にむかって電光を発する(1枚目の写真)〔こんな奇術はないので、CGになってしまうが、彼はマジシャンであって魔法使いではないので、こんな技は奇妙で不合理〕。マックスを除いた4人は逃げ出すが、危害がないと分かったマックスは戻ってくる(2枚目の写真)。驚いたザンボーニは、非難を込めて 「ブー」と言うが、マックスは、ザンボーニの顔をじっと見つめる(3枚目の写真)。
  
  
  

これはダメだと思ったザンボーニは、蓋を手で閉め始め、マックスの手が挟まらないよう 「指だ」と注意する。そして、完全に蓋は閉まる(1枚目の写真は 閉まる直前)。怖いものなど何もないマックスは〔孤児院に行くぐらいなら、死んだ方がマシだと思っている〕、蓋を手で開ける。すると、中は空で、底が2つに割れている。マックスは、箱の仕組みを知ろうと中に両腕を入れてみる(2枚目の写真)。そして、箱の中に飛び込み、箱の下の四角い小部屋に降り立ち、そこから下に延びる階段を降りていく(3枚目の写真)。
  
  
  

重い扉を開けると、そこはザンボーニの想い出の品が詰まった部屋。マックスは、ちょっとずつ触ってみるが、最初に手に取ったのは、赤い袋(1枚目の写真)。赤い布を裏返すと黒い布になり、元に戻して中を覗くと、カラフルな布が出てくる。次に手に取ったのはマジシャンのスティック。すると、後ろから肩を叩かれたので、思わずスティックを落としてしまう。マックスは、すぐに拾ってザンボーニに渡し、「素敵なモノ〔stuff〕ですね」と言う。ザンボーニは、「それは単なる “モノ” じゃない。フーディニの個人コレクションの一部だ」(2枚目の写真)。「フー、って誰?」。「このバカもん〔stuff〕。不法侵入の意味を知っとるか?」。「いるべきじゃない所にいること」。「その通りだ。山羊を連れて出て行け」〔山羊は、その部屋にいた〕。「あなた、グレート・ザンボーニだったの?」。「そうだ。だが、誰にも言うんじゃないぞ。この部屋のことも。マジシャンは、トリックや素性を明らかにはしないんだ」。ザンボーニは、それだけ言うと、マックスを山羊と一緒に追い出す(3枚目の写真)。
  
  
  

翌日、いつものカフェテリアに集まった5人。プレスコットは、ラップトップでザンボーニについて調べる。一番詳しそうだったのは、「National Report」というサイト(1・2枚目の写真)。そこには、次のように書かれていた。「1989年4月22日/マジシャンの妻、宙に消える/グレート・ザンボーニとして知られるアレキサンダー・ヨーク、告発される/有名なマジシャンにして、超一流のイリュージョニスト、グレート・ザンボーニことアレキサンダー・ヨークは、妻ドーン・スターの消失を受けて逮捕された。クレッセント劇場でのパフォーマンスの目撃者は、「魔法のようだった… 女性が目の前で消えたんだ」と語っている。パフォーマンスは、混乱したヨークの呻き声で中断され、舞台の外に連れ出された。劇場経営者はクレッセント警察に通報した。目下の調査内容に関してのコメントは拒否された…」。別のサイトには、映画の冒頭で紹介されたマジックの記録映像も公開されていた(3枚目の写真)。プレスコットが、「警察は、彼が殺したに違いないと思ってる」と言うと、ザンボーニが好きになったマックスは、「そんなことする人じゃない」と反論する。
  
  
  

マックスは、1人でザンボーニの館に行く。彼は、数日前、バンと一緒に丸焼けになった木を斧で切っていた。マックスは、「僕に、マジックを教えてもらえない?」と頼む。返事は一言。「No」。「ホントの魔法が起きちゃうのが怖いから?」。「ホントの魔法など、あり得ん」。「じゃあ、あなたの奥さんは?」(1枚目の写真)。「逃げ出したのさ」。マックスは、ザンボーニが木を運ぶのを手伝おうとして指を怪我してしまう(2枚目の写真、矢印)。お邪魔虫でも、怪我は可哀想なので、ザンボーニはバンドエイドを取りに行く。マックスは後を付いて行くが、館の中に入れたくないザンボーニは、玄関前の段々の下で待つよう命じる。段々に座ったマックスが怪我した指を見ていると、ザンボーニがバンドエイドを1枚持ってきて、また館内に戻って行く。彼が玄関に入る直前、マックスは 「なぜ、逃げ出したの?」と声をかけるが、完全に無視される。マックスは、慎重にバンドエイドを指に巻く(3枚目の写真、矢印)。
  
  
  

ザンボーニが、紙袋を抱えてウッドデッキの端に立って数百隻の漁船を見ている。因みに、撮影場所は、カナダのスティーヴストン(Steveston)という村のフィッシャーマンズワーフ。すると、再び、お邪魔虫登場。「やあ、僕だよ、マックスだ」と言いながら、ザンボーニに走り寄る。「マジックの道具、ユーリがくれたんだ。どうやったら、小さな玉が消えるか、やってみてもらえない?」(1枚目の写真)「バンドエイド、ありがとね、指、もう良くなったみたい」。返事はない。「ライオン、どうしたの?」。「ジャガーだ」。「車から、名前付けたの?」。「違う」。「どうすればいいかは分かるんだけど、やってみると できないんだ」。いい加減うんざりしたザンボーニは、早く追い払いたいので、樽の上に、玉の台を置くと、フタを取り、中の赤い玉を見せ 「赤い玉」と言い、右手に取る。「赤い玉は手の中だ」。そして、「フタを閉める」と言いながら、フタを台に戻す。そして、右手に持っていた赤い玉をマックスに見せ 「赤い玉は手にある」と言う(2枚目の写真)。そして、赤い玉を左手に持ち替えた後、左手を開き 「赤い玉は消えた」と言う。そして、フタをノックして取ると、中には赤い玉が。「すごいや」。「いいか、こんな風にフタを持つんだ」。ザンボーニは、フタの中に玉を隠して持つコツを教える。マックスは、さっそくカフェテリアに行き、4人とウェイトレス(ビーンズとゾーイの母)、店のオーナーの前でやって見せ(3枚目の写真、矢印)、喝采を浴びる。
  
  
  

マックスは、お礼の意味を込めて、切り倒した木のそばに落葉樹の苗木を植える。それを見たザンボーニが、何事かと、館から出てくる(1枚目の写真)。「いい木だな」。「ここにぴったりだと思ったから。水、たくさんやってね」(2枚目の写真)。「どうも」。それだけ言って、ザンボーニは館に戻って行く。マックスは 「他のマジック教えてもらえない?」と頼む。ザンボーニは、振り向くと、「別の機会にな」とだけ言い、玄関に向かう。「11月1日までに教えてね。その日に、孤児院に連れてかれちゃうから」(3枚目の写真)。ザンボーニは一瞬足を止める。「それまでに覚えておきたいんだ。他の子から好かれるでしょ」。ザンボーニは、何も言わずに館に入ってしまう。
  
  
  

カフェテリアに戻ったマックスは、「お絵描き帳」に ザンボーニのいろいろな絵を描く。その頃、悪の3人組は、クラブハウスに行き、外につないであった山羊を盗み出す(2枚目の写真、矢印)〔山羊を2度も盗んでどうするのだろう?〕。ゾーイは、クラブハウスまで山羊のエサを持ってきて、盗まれたことに気付き、カフェテリアに走って戻る。その結果として、マックスは、「ザンボーニさんは きっとプリンセスを見つけてくれるよ。すごく賢い人だもん」と言い、4人を館に連れて行く(3枚目の写真)。
  
  
  

しかし、ボタンを押してドラが鳴っても、また、返事がない。そこで、マックスは、近くの窓まで行って中を覗く。ビーンズ:「何してるんだ?」。「きっと家にいる。出たくないんだ」。プレスコット:「ワケがあるのさ」。ビーンズ:「僕らが嫌いなんだ」。「違うよ。他の人に慣れてないだけだよ」。ビーンズとプレスコットが、“嫌い” と “慣れてない” の表現について議論している間に、マックスは、どんどん先の窓に行き、角を曲がった先の窓の中を覗き、「ジャガーのシッポがカウチに挟まってて、痛そうだ!」と叫ぶ(1枚目の写真)。さっそく見に来たプレスコットは 「僕なら、近づかない」と言うが、マックスは 「僕は怖くない。動物は、助けてもらえると分かれば おとなしいんだ」と言い、窓から室内に入る。他の3人も恐る恐る中に入るが、1人入らなかったゾーイが、「スプーキー・ガイが来るわよ!」と知らせたので、慌てて逃げ出す。マックスだけは、ジャガーを助けようとその場に残る(2枚目の写真)。そして、ジャガーのしっぽを挟んでいるマットレスの部分に飛び乗る(3枚目の写真、矢印は挟まれたしっぽ)〔普通なら、上に乗ればそれだけしっぽをより強く押し付けることになるのだが、賢いマックスは、もしこれが普通のマットレスなら、しっぽが挟まれるハズがないと考えた?〕。マックスの勘は当たり、カウチの座席の部分は時計回りに回転し、マックスは、カウチの中に転落、ジャガーのしっぽは抜ける〔カウチは、マジックの道具の一つ〕
  
  
  

部屋に入ってきたザンボーニは、疲れていたのでカウチの上に寝てしまう〔寝るには固いと思うのだが…〕。カラクリ・カウチのマットレスの板と 下の板の間に挟まれたマックスは、身動きがとれない上に、急にトイレに行きたくなる。そこで、「助けて! おしっこが出ちゃう! 出して!」と叫ぶ(1枚目の写真)。ウトウト眠っていたザンボーニは、慌てて飛び起き、カウチの中からマックスが出てくる(2枚目の写真)。そして、「すぐ戻って来るから。おしっこが出ちゃう」と言って走って行く〔トイレの場所をどうして知っているのだろう?〕。戻って来たマックスに、ザンボーニは、「私の家に不法侵入を続けると、行き先は、孤児院じゃなく少年院だぞ」と叱る。「あなたが家にいるかもと思って、窓から見てただけ。みんなで来たんだ」(3枚目の写真)。「人の家の窓を覗くのも良くないぞ」。「そうだね、ごめんなさい」。「それに、結局は、家の中にまた入ったじゃないか」。「でも、シャドー〔ジャガーの名/意味は “影”〕の しっぽがカウチに挟まってたんだ」。「シャドーは廊下にいて、元気だったぞ」。それを聞いたビーンズが、窓の外から、「済みません。シャドーのしっぽがカウチに挟まってて、マックスが助けたんです」と証言してくれる。ザンボーニは、それで機嫌が直るどころか、大勢に家の中を覗かれていることに頭に来て、全員を追い出す。
  
  
  

カフェテリアに戻ったプレスコットが、ラップトップを使って更なる分析を行う。それは、ザンボーニの妻が消えた時の映像の音声の詳しい解析だった。画面上のザンボーニの顔に音源を固定して、そこから発せられる声を拡大して表示する(1枚目の写真、赤い枠で囲まれたのがザンボーニの顔、右下の緑の波形がザンボーニの音声)〔そんなことが2001年の段階で可能なのだろうか?〕。その声は、「子供は嫌いだ〔I hate children〕」と言っていた(2枚目の写真)。これが、奥さんがザンボーニを見捨てて逃げ出した理由かもしれない。マックスは、自分も子供なので、ザンボーニとは友達になれないと分かり、がっかりする。その頃、ザンボーニは、カウチに血が付いていることに気付き、マックスが本当にシャドーを助けたのだと分かる。
  
  

すると、クラブハウスにマックス宛のプレゼントが届く〔どうやって、マックスの居所がわかったのだろう?〕。箱を開けると中に入っていたのは、フーディニのスティックだった(1枚目の写真、矢印)〔そんな貴重なものを、プレゼントするだろうか?〕。マックスが、スティックを右手に持ちながら、自転車を乗り回していると、バッタリと悪の3人組に遭う(2枚目の写真)。マックスは自転車から引きずり降ろされ、芝生の上に投げ出される。モナは、鼻血を出したマックスを見て、「赤ちゃん、自分でケガしちゃったの?」と、おどけるように訊く。「赤ちゃんじゃないぞ! 泣いてなんかないだろ!」。それを聞いたデイヴは、泣かしてやろうと、マックスの自転車を足で何度も踏みつけて壊す。それを見たモナは、「何やってんの!?」と批判。「泣かしてやろうと思ってさ」。モナはデイヴを殴り、「そんなことしても、お金にならないじゃないの」と叱る。マイクが、モナにスティックのことを告げ、モナは必死で離すまいと抵抗するマックスから(3枚目の写真、矢印)、スティックを奪い取る。
  
  
  

次のシーン。ザンボーニが玄関ドアを開けると、そこには、捩じれた前輪を左手に持ち、右手で自転車本体を支えているマックスがいた。鼻血と頬の泥はさっきと同じ。3人組にやられた足で、すぐに館までやって来たのだ。そして、「スティック、奪われちゃった」と告げる(1枚目の写真、矢印は前輪)。ザンボーニは、マックスが以前スティックを見つけた部屋に連れて行き、鼻血を拭ってやる(2枚目の写真)。「フーディニって誰?」。「史上、最も偉大なマジシャンの一人だ。辛い人生を歩んだ。多くの困難にぶつかったが、いつも乗り越えたんだ」。「虐めっ子に捉まったことある?」。「生涯を通じてな」。「なら、なぜ “虐めっ子” なの?」。「私が? 虐めっ子じゃないぞ」。「子供が嫌いでしょ?」。「誰がそんなことを?」。「あなただよ。奥さんが消える前に、あなたが言った最後の言葉」(3枚目の写真)。「まるで魔法使いだな」。「コンピュータで見たんだ」。「最新の技術は凄いな。鼻の手当ては済んだから、帰ってくれ」。「でも、自転車も直してくれるって」。「そうだったな」。
  
  
  

会話はさらに続く。「なぜ、子供が嫌いなの?」。ザンボーニは、孤児院時代に撮られた集合写真を見せる。「あなたも孤児院にいたの?」。「子供の時から、ずっと孤児院だった」。「マジックは知ってたの?」。「いいや」。「だから、マジックを幾つか教えて欲しいんだ」。「右クロス〔ボクシングのクロスカウンター〕でも教わった方が役に立つぞ」。「ママは、ケンカしなければ、敗者にならずに済むって言ってたよ」(1枚目の写真)。「私は、そんな幸運じゃなかった。他の子全員が私を虐めたからな。だから、いつも戦って、右クロスをマスターしたんだ」「一度、マジシャンが孤児院に来た。ショーは見なかったが、ゴミ箱にたくさんの物を捨てるのを見た。後で拾い集めてみたら、マジックで使ったトランプや小道具だった。うまく使えるようになるまで、何度も練習した。それから、新しいマジックを考え出していったんだ」。「孤児院では、友だちいたの?」(2枚目の写真)。「ルーター。鼠だ」。マックスは、奥さんの写真が貼ってあるページをザンボーニに見せる。すると、ザンボーニは、ようやく “子供嫌い” の理由を話す。「孤児院にいた時、こう誓ったんだ。子供は作らない。悪ガキに虐められるのは可哀想だから。だが、ドーン・スターは 他の何よりも子供が欲しかった。私は、彼女がアシスタントとして必要だった。だから、『どうやったら、(マジックで)妊婦を半分に切れる』と、いつも言ったんだ。アシスタントは幾らでもいたが、妻として欲しかったのは彼女だけだったからな。例のショーの夜、私は彼女に、これまでで一番残酷なことを言ってしまった。だから、彼女は消えたんだ」。
  
  

そして、いよいよハロウィーンの日。子供達は、お菓子集めに奔走している。そんな中、悪の3人組のモナは、「トリック オア トリート」と言って一軒の家を訪れる。高校生なら、そろそろお菓子を配る側になるのに、奥さんはモナを快く受け入れる。モナは、「水を一杯下さいませんか? 気分が良くないんです」と頼み、モナは室内に招じ入れられてソファに座る。奥さんが水を汲みに行くと、モナは玄関を開け、2人を入れ、入口脇に置いてあった配布用のお菓子を持参の袋に全部入れる(1枚目の写真)。そして、奥さんが水の入ったグラスを持って戻ってくると、「ごめんなさい。あなたが水を取りに行くとすぐ2人の男の子が入って来て、キャンディーを全部盗んで行きました。止めようとしたんですが、無理でした」と嘘を付く。奥さんは、腕を組んでモナを見ると、「昨年も同じことが起きたわね」と言い出す。モナは、「そんな子がいるなんて、恥ですね」と誤魔化すが、奥さんは、昨年もモナだったと確信しているので、「他の子供たちに公平じゃないわ」と注意する。モナは早々に退散するが、来年はもう無理だろう。一方、5人組は、それぞれ仮装してお菓子ねだりに出発する。マックスは、ザンボーニと同じ、髭とターバンの出で立ちだ。4人は、ビーンズから、「全部の家を回って、可愛らしく『トリック オア トリート』って言うんだぞ」と注意される(1枚目の写真)。その時、例の家から悪の3人組が出てくるのが見える(3枚目の写真)。プレスコットは、「跡をつけて行って、あいつらの隠し場所を見つけてやろう」と言い出す。
  
  
  

ところが、3人組が向かったのは、マダム・ボスの建物。マダム・ボスは、3人がキャンディーを持ってきたのを見て、軽蔑するように笑う。そして、「もっと大きいことを考えるのよ!!」と大声で叱る。そして、盗みのイロハを教える。①玄関に鍵が掛かっていたら、窓を破って入り、②持参した大きな鞄に銀製品を詰め込み、③次に宝石を入れ、④満杯になったらボスの所に持って来る、というもの(1枚目の写真)。ところが、その話を、跡を追ってきた5人も、建物内に忍び込んで聞いていた(2枚目の写真、矢印)。マックスは、ちょうどそこに、奪い取られたフーディニのスティックがあるのを見つけると、手を伸ばして掴み取ろうとする。しかし、その直前に山羊が鳴き、ゾーイが大声で「プリンセス!」と叫んでしまったので、5人の存在が気付かれてしまう。それでも、マックスは大事なスティックを奪い取る(3枚目の写真、矢印はスティック)。5人はザンボーニの館に向かって走り、その後をモナ達3人が追う。
  
  
  

子供達は、ザンボーニの館の玄関をドンドンと必死に叩き、彼がドアを開けると(1枚目の写真)、中になだれこむ。ザンボーニは、呆れて、「トリック オア トリートとは言わんのか?」と訊く。全員:「トリック オア トリート」。ザンボーニは、スティックに気付く。「見つけたのか?」。マックスではなくビーンズが、「他の盗品も全部、女の人のところに隠してあったんです」と答える。一方の、悪の3人組は、“最初に5人組が落ちた地下倉庫” に転落し、そこから 階段に出る(2枚目の写真)。3人は巨大な蜘蛛の巣に触らないように階段を上がり、高い天井の部屋に出る。デイヴの目の前に、時を告げる “大きな木の鳥” が飛び出してきて、仰天させる(3枚目の写真、矢印は嘴)。
  
  
  

ここからは、一種の “お化け屋敷” による3人組虐め。最初は、ビーンズが囮(おとり)になって駆け込んだ部屋で、光る骸骨が踊る。その次はユーリの出番。こっちにお出で、とばかりにドアから部屋を出る(1枚目の写真)。2人の悪たれがドアを勢いよく開けて跡を追おうとすると、そこは壁になっていて、思いきりぶつかった2人は部屋に跳ね返されて転倒する(2枚目の写真)。
  
  

廊下で一人になったデイヴの前に現れたのはザンボーニ本人。ただし、ドラキュラ伯爵のメイキャップで、2つのグラスの載った盆を持っている。そして、デイヴに、「血のカクテルはお好みかな?」と尋ねる(1枚目の写真)。ドラキュラが片方のグラスを飲み始めると、デイヴは一目散に逃げ出し、階段から、サボテンの鉢と一緒に転落(2枚目の写真、矢印はサボテンの鉢)。1階に達した時は、落下の痛さ、プラス、サボテンの針の痛さで悲鳴を上げる。
  
  

別の部屋では、プレスコットが大きなカボチャ型の容器の中に隠れる。モナとマイクが カボチャに剣を刺していく〔こんなことは本来あり得ない。なぜなら、中にプレスコットがいると信じて刺したなら、殺すことになるわけで、いくらモナでも殺人鬼ではないから〕。5本の剣を刺した後、カボチャの蓋を取ってみると、中はカラッポ。容器の底には、下に逃げる穴が開いている(2枚目の写真)。
  
  

そして、廊下に一人で出たマイク。黒ジャガーが現われ、恐怖に慄くマイクの包帯の端に噛みつく〔マイクのハロウィーンの仮装は、包帯でグルグル巻きにされたミイラ〕。黒ジャガーは、そのまま後退したので、包帯が引っ張られ、マイクは高速で回転する(1枚目の写真、下の矢印は包帯の引っ張られる方向、上の矢印は回転の方向)。そして、そのまま階段を転がり落ちて行き(2枚目の写真)、デイヴとぶつかる。
  
  

悪の3人組を懲らしめる場面の途中に、ザンボーニとマックスの平和な交流場面が挿入される。ザンボーニが鏡の前に座って髭を張り付けていると、マックスが歩き回っている音がする。マックスは、星の形のクッションが置かれたザンボーニのベッドに横になる。「楽チンなベッドだ」と独り言。それを聞いたザンボーニは、鏡を斜めにして様子を見る(1枚目の写真、矢印はマックス)。マックスが見上げると、ベッドの上の天井は一面の星空。「クールな天井も、素敵だ」(2枚目の写真)。
  
  

一方、モナは、2人の頼りない手下に 「刑務所に行きたいの?」と鋭く訊く。マイク:「家に帰りたい」。「何て意気地なしなのよ! 何もかも、タダのまやかしじゃないの。あのガキどもを何とかするまで、ここから出られないわよ」。そこで、デイヴがトイレに行きたいと申し出る。しかし、1人で行くのは怖いのでマイクに付いてくるよう頼む。それを壁の覗き穴から見ていたゾーイは、さっそくザンボーニに報告する。2人がトイレに行くと、便座には骸骨が座っていて〔ゾーイの報告から、そんなに短時間で用意できるとは思えない〕、「悪いなデイヴ、今、使用中なんだ」と身振りを交えて話しかける(1枚目の写真)。2人は慌ててトイレから逃げ出す。トイレの背後では、ザンボーニとマックスが2人で骸骨を動かし、ザンボーニが声を出していた。悪漢が逃げ出したことで、ザンボーニは、「イルージョンがこんなに楽しいものだって、ずっと忘れてた」とマックスに話す(2枚目の写真、矢印はマックスが操っていた紐の棒)。廊下にいる2人を見たモナは、またお説教をしようとするが、今度は、廊下の向こうから壁が押し寄せてくる。行き場を失った3人は、廊下の突き当りの換気口から筒状の滑り台のような場所に入り、地下室まで滑落する。最後、3人は黒ジャガーに追われて変な部屋に逃げ込む(3枚目の写真)。その部屋は、床に渦巻の絵が描いてあるだけではなく、実際に四角い部屋ごと回転する。3人は、警察が来るまでここで “完全に降参して” 待つことになる。
  
  
  

次が一番分からない〔筋が通らない〕場面。いきなり、館の中心、ザンボーニの部屋に、マダム・ボスが現われる。そして、マックスを人質にして拳銃を構える(1枚目の写真)。なぜ、館に来たのか? 100%譲歩して、悪の3人組の跡を追ってきたと考えることはできる。しかし、どうやって中に入ったのか? これも100%譲歩して、子供たちが玄関をドンドンと叩いて中に乱入した時、ザンボーニが鍵をかけ忘れたと考えることはできる。なぜ、マックスが人質になったのか? これも100%譲歩して、前節で、地下室に滑落した後、マックスを除く4人はザンボーニと一緒だった。マックスは館内をうろついていて、マダム・ボスに捕まったと考えることはできる。だから、不可能ではないが、やはり突然の出現には戸惑わされる。「手を上げなさい」の命令に、ザンボーニは両手を挙げると、左手に持っていた光と煙の出る玉を、マダム・ボスの前の床に投げつける。彼女が、びっくりした拍子に、マックスは逃げて4人と合流する。そして、ザンボーニはマジックの用意を整える。だから、咳いた弾みで、マダム・ボスの拳銃が暴発し、玉がザンボーニに命中すると、映画の冒頭であったように、体が崩れて(2枚目の写真)粉々のガラス片になる。彼女が、うつむいて床のガラス片を手に取ると、後ろからザンボーニの声がして、時代物の拳銃が向けられる(3枚目の写真)。
  
  
  

その隙に、プレスコットがラップトップから警察に、「助けて!!! スプーキー・ハウスに来て! 悪い女が拳銃を!! プレスコット」と、メールを打つ(1枚目の写真)〔スプーキー・ハウスは、子供達が勝手に付けた名なのに、警察はどうやって場所が分かったのだろう?〕。ザンボーニの南北戦争時代の拳銃は、銃口から造花が飛び出すマジック用品だったが、マダム・ボスの隙を見てピストルの弾を抜き取ることに成功。両手をつかんで、マジックで使う手錠をはめる。彼女は、手錠を外そうと必死になるが、どうやっても外せない(2枚目の写真、矢印)。それを見てザンボーニと子供達は笑う(3枚目の写真)。
  
  
  

マダム・ボスが手錠と格闘している間に警察が到着し、まず、回転する部屋でフラフラになっていた3人が逮捕・連行される(1枚目の写真)。マダム・ボスは、署長とおぼしき警官によって部屋から出されたところで、その姿を見て 「せっかくの訓練が台無しだわ」と、ブツブツ。手錠の外し方をザンボーニから教えてもらったマックスは、マダム・ボスの前まで行くと、「グレート・ザンボーニは、手錠を返して欲しいそうです」と言い、あっという間に手錠を外す(2枚目の写真、矢印)。「どうやったの?」と訊かれると、「マジックだよ」と答える。「坊や、プロの素質があるわね。名刺をあげるわ。電話して、5年後に」。署長は、「5年じゃなく10年だな」と冷や水を浴びせる。警察が去り、5人の子供達もザンボーニに別れを告げて帰って行く。すると、マックスが、途中で、「待ってなくていいから」と4人に言って、走って館に戻る。そして、ザンボーニに 「孤児院でマジック・ショーをやってもらえない?」と頼む。ザンボーニは、「もう やらないんだ」と答える。「今夜、やったじゃない」。「そうだな。みんなでやった」。「僕ら、いいチームだったね」(3枚目の写真)。「寂しくなるな、マックス」。こう言い残して ザンボーニは館に入ってしまう。見捨てられたと思ったマックスは、しばらくその場に立ち尽くす。
  
  
  

そして、遂に翌日、児童福祉課の職員がマックスを迎えに来る(1枚目の写真)。4人と、ビーンズとゾーイの母のウェイトレスがマックスを寂し気に見送る(2枚目の写真)。振り返って、もう一度、さよならの手を振った後は、車まで歩き続ける。後部座席の真ん中に座ったマックスは、絶望して外を見る元気もない(3枚目の写真)。
  
  
  

一歩、マックスがいなくなったカフェテリアでは、ウェイトレスがレジに置いてあったマックスの「お絵描き帳」を見て、気に入る(1枚目の写真)。そこで、空いたテーブルで宿題をしていた4人に、「宿題終わった子いる?」と訊く。ユーリが手を上げる。「こっちに来て。頼みたいことがあるの」。次の場面では、マックスの「お絵描き帳」を持ったユーリが、ザンボーニの館の玄関をドンドンと叩く〔ドラは鳴らさない〕。そして、出てきたザンボーニに「お絵描き帳」を渡す(2枚目の写真)。ザンボーニは、相手がロシア系なので 「スパシーバ」とロシア語でお礼を言うが、ユーリは、英語で 「どうしたしまして」。ザンボーニは、さっそく中を見てみるが、描かれているのは自分と黒ジャガーばかり。マックスが、よほど気に入っていたことが分かる。そして、彼の心を打ったのは、2人が館の前で嬉しそうに手をつないでいる絵だった(3枚目の写真)。
  
  
  

グレート・ザンボーニの11年半ぶりのマジック・ショーが開かれることになり、その会場にジョージ・ワシントン孤児院からのバスが到着する。降りてきた子供達の中にはマックスもいる。先に会場に入っていた4人組は、マックスの姿を見つけて声をかけて手を振る。ショーが始まると、ザンボーニは、白い鳩を黒い猫に変え、その猫を大きな檻に入れ、その前に餌の皿を置く(1枚目の写真)。そして、餌を食べるところがみっともないからという口実で、檻の前面に布を被せ、しばらくして外すと、黒ジャガーに変っている(2枚目の写真)。
  
  

ショーは最後のイリュージョンとなり、ザンボーニは、会場からボランティア1人の参加を求める。多くの手が上がったが、「子供だけ」と制限をつける。それでも、多くの手が残ったが、マックスは席から飛び上がって手を高く掲げている。そして、マックスがボランティアに選ばれる(1枚目の写真)。ステージに上がったマックスの背後で幕が上がると、そこには青と赤のロケットが立ち並んでいた。どちらか1つを選べと言われ、マックスは青いロケットを選ぶ。ロケットの蓋が開けられ、中にマックスが入る(2枚目の写真)。次に、2基のロケットは横に倒され、赤いロケットの中に黒ジャガーが入る(3枚目の写真)。
  
  
  

すると、2基のロケットは、お尻の部分から火花を散らし、中心軸の周りにゆっくりと回転を始める(1枚目の写真)。ロケットが停止し、再び垂直に戻された後、赤いロケットの蓋を開けると、中からマックスが出てくる(2枚目の写真)。拍手喝采の後、ザンボーニは、こう述べる。「皆さん、あなた方は、私が偶然マックスを選んだと思っておられたでしょうが、彼を選んだのには特別な理由がありました。 それは、今日の午後、劇場に来る前に、私は マックスの父親になるという素晴らしい権利を与えてくれる養子縁組の書類に署名したのです」(3枚目の写真)。観客からは暖かい拍手が贈られる。
  
  
  

そして、次に青いロケットの蓋が開くと、中から出てきたのは、11年半前に消えたドーン・スター(1枚目の写真)。ザンボーニは彼女と 万感の思いで抱き合うが、それを見ているマックスも幸せ一杯だ(2枚目の写真)〔パパだけでなく、ママもできたので〕。ザンボーニは、マックスに手を伸ばし、3人で抱き合う(3枚目の写真)。これだけ盛り上がるハッピーエンドはなかなかないので、エンディングは素晴らしい。
  
  
  

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